加齢黄斑変性症の治療
■症状
加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見え
にくくなる病気です。網膜の中心部は黄斑部と呼ばれ、細かいものを識別したり
色を見分ける働きをもった部分で、網膜の中では一番大切な場所です。黄斑部が
障害されると、周囲は見えても、モノがゆがんで見える(変視症)、視野の中心
が暗くなる・欠ける(中心暗点)、視力が低下するなどの症状がでます。
日本では、高齢化を背景に患者数は増加傾向にあり、中途失明原因の上位を
占めています。
■原因
老化によって網膜の老廃物の処理する働きが衰え、黄斑部に老廃物などが沈着
し、網膜の細胞や組織に異変をきたすと考えられています。
老化を引き起こす原因として、有力視されているのが「活性酸素」です。
活性酸素はさまざまな外的要因(紫外線・タバコ・ストレスなど)が刺激となり
過剰に発生してしまう場合があります。
<萎縮型加齢黄斑変性>
黄斑の組織が加齢とともに萎縮する現象です。症状はゆっくりと進行し
急激に視力が低下することはありません。しかし、時間の経過とともに
新生血管が発生し、「浸出型」に移行することもありますので、定期的
な眼科受診をおすすめします。
<滲出型加齢黄斑変性>
網膜のすぐ下に新しい血管(新生血管)ができて、この血管が黄斑に
ダメージを与えます。新生血管は正常の網膜にはない血管で非常に
もろいため、成分が漏れ出て溜まったり、出血を起こしたりするため
視覚障害を引き起こします。
進行が早く、急激に視力が低下していきます。
■治療
滲出型の治療には、抗VEGF療法という新生血管を沈静化させる薬を
硝子体内に注射する方法が一般的です。その他に、光に反応する薬剤を
体内に注射し、それが新生血管に到達したときに弱いレーザーを照射して
新生血管を破壊する「光線力学的療法」などがあります。
残念ながら萎縮型の加齢黄斑変性には現在のところ治療法はありません。
喫煙を控えたり(禁煙)、抗酸化物質(ビタミンE、ビタミンC、β-カロテン等)を
含む食品の摂取やサプリメントの服用が予防にもつながります。